頼れる友人

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彼女の家は大学から近い場所にあった。 1DKの間取りは、いかにも一人暮らしという感じだ。 そこは、お香のいい香りがした。 「適当に座って」 「ありがとう」 私は赤色のソファにゆっくり座り、周りを見回した。 彼女は赤色が好きなのか、それが多い。 私もできることなら、一人暮らしをしてみたかった。 「色々可愛いね。いいな、私も一人暮らししてみたいな」 「そう?なんか、葉月が一人暮らしって似合わないけど」 「そうなのかな……」 「うん、どこをどう見てもお嬢様っぽいからね」 自分の見た目なんてわからないけれど、お嬢様っぽいと言われるのは嬉しくない。 「ねぇ、結婚のこと聞いていい?」 友梨香は真剣な表情を私に向ける。私はそれに「うん……」と、答えた。 「親が決めたって、家同士のお見合いとかなの?」 「うん……」 「そっか……。じゃあ葉月はその結婚相手は好きになれそうにないの?」 「わからない……」 好きとか、嫌いとか、まずそういうのではない。 「すごく不細工とか?」 私は予想してなかったものに「え……」と、言葉を続けられず、瞳を瞬かせた。 「やっぱりそうなの?」 何も言えない私に、彼女は肯ととる。 「いや……」 「可哀想に……こんなに可愛いのに、葉月……」 蓮池さんは不細工とはほど遠い。 だって、かなり目を引く容姿をしている。 しかし、それを言う間がなかった。
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