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マンションに着き、部屋に上がると玄関には蓮池さんの靴があった。
「た、ただいま戻りました」
予想通り、返事はない。
そのまま手洗いをしようと、私が洗面所へ足を向けたときだった。
急に浴室の扉が開き、彼が出てきた。
「やっ……」
何も纏わない姿に、私は驚き固まる。
彼の裸体を見て、その場に崩れた。
「……大丈夫か?」
「ふ、服を、服を着て下さい」
顔を手でいっぱいに覆い見ないように視界を隠した。
やだ、ありえない……
彼は、言うとおり服を着てくれているのだろう、布の擦れる音がして、ほっとするが、まだドキドキは止まらない。
「もういいぞ、大丈夫か?」
手を外すとバスローブ姿の彼がいた。
「すみません、大丈夫です」
そう言ったが、とても立てそうにない。
ただ、彼から視線を逸らしうつむいた。
早く、出ていってくれないだろうか。
その期待は、すぐに裏切られた。
「立てないんだろ」
「え……」
私は顔を上げて、彼を恐る恐る見つめた。
すると、彼は「ほら」と、私に手を差し出した。
「立てないんだろう」
冷たい表情のままだけど、なんとなくその行動に優しさを感じる。
つられるように手を伸ばすと、それは彼の手に掴まれて、身体ごと上に引かれた。
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