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「キャ……」
その力は大きくて、互いの身体がぶつかる。
「悪い、大丈夫か?」
「は、はい……」
しかし、まだ力が出ず、私は崩れそうになる。それを支えたのは彼だった。
「少し、掴まってろ」
そう言われたと同時、彼に担がれた。
荷物のような運ばれ方で、リビングへきた。
私をソファへ置いたが、その動きは優しかった。
「あ、ありがとうございました」
「あぁ」
お礼を言えばそれだけだ。
彼はそのまま自分の部屋に入ってしまい、その日はもう会うことはなかった。
冷たい顔をした男だけど、優しい部分もあるんだ……
ほんの、少しだけ彼への見方が変わった。
それでも、一人は寂しい。私は宮前さんの用意した夕食をほぼ残し、早めにベッドに入った。
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