あてがわれた婚約者

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足音はどんどん近づいてくる。 それが止まったのと同時、冷ややかな空気と共に扉が開いた。 大きな音に私は驚く。 「共哉遅いわよ」 「仕事だよ。これでも早く来たんだ」 その声は低く冷たい。 「葉月さんがおみえよ」 私は見合い相手だとはっとして、声の主を見た。 そこには黒い艶のある髪をオールバックに固めた端正な顔の男がいた。 身長が私よりもかなり高い。 「初めまして、蓮池共哉です」 私は彼の威圧感に何も答えられないでいた。 すると「ほら、葉月」と、父に叱られる。 「失礼しました、初めまして寿葉月と申します」 恐怖で声が震えている。 男嫌いというわけでないのに、怖いのは彼がとても冷たい表情をしているからだ。 鋭い目つきで、彼は「今日はよろしく」と、冷たく言った。 「こ、こちらこそ」 私は見合い相手が彼なことに、ひどくショックを受けた。 こんなに冷たい人だとは思いもしてなかったため、身が震える。
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