あてがわれた婚約者

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右に父左に母、そして前には冷たい顔をした彼がいる。 「ごめんなさいね、葉月さん。この子無愛想で」 「とんでもないです。共哉君は立派な青年だ」 彼は冷たい表情で座っている。 そんな中、私達のお見合いが始まった。 「葉月さんご趣味は?」 習い事は琴お花舞踊に書道と父に言われるがまま続けてきた。 だが、あまり好きではない。 「趣味はフルートを吹くことです」 小、中と吹奏楽部に属していた私は、楽器はフルートだった。 「あら、フルート」 「葉月、琴や生け花も好きだろう?」 父の目が私をキツく捉える。 この答えは父の意にそぐわなかったに違いない。 父は私が吹奏楽部に所属していたことをよくは思ってなかった。 習い事や勉強と両立出来るかいつも気にかけていた。 「はい……」 正直琴もお花もフルートまでは魅力を感じない。 でも父は「葉月は料理も得意なんですよ」と、付け加える。 きっと彼に気にいられる話をしろと私に言いたいのだ。
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