あてがわれた婚約者

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料理の話はやはり好印象なのだろうか。 「あら、お料理は習ってらしたの?」 彼の母親が興味を示す。 「いえ、母から……」 母は家政婦が居るにも関わらず、料理は全て自分で作っていた。 私も母から教えてもらい、今では一人暮らししても困らないくらいにはなっている。 「そうだったわ、奥様はお料理が上手なのよね」 「いえ、それほどでも……」 「葉月さんがお料理好きだと聞いて安心したわ。ね、共哉」 今まで黙って聞いているだけだった彼に話を振るから思わずびくっとする。 「そうですね」 彼はどうでも良さそうな返事をした。 「共哉、もう……。そうだわお二人でお外にいってらっしゃいな」 大体お見合いというものは会話を深めて二人になるものではないのだろうか。 「奥様しかしまだ……」 「ほら、共哉お庭はお花が綺麗だったわ、 いってらっしゃい」 父は心配なのだ、私が粗相をしないか。 「わかったよ」 やけに積極的な彼の母親だが、父は明らかに困惑している。 「行こう」 「はい」 了承した彼になんとか、答えた。 そんな私に父は“わかっているな”と目配せをした。
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