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カタカタとPCのキーを鳴らしながらブルーライトと向き合う。電気は暗い。
そういえばこの間編集さんが来たときに一言「暗ッ」と言われたが、この間っていつだっけ。
言うなれば僕は他人との関わりを極限まで絶ちたがる引きこもりで、そうやってでも暮らしていける仕事というのは小説家とかそれに似た類のものくらいだ。つまり僕は小説家をしていた。
件の隣人、田中さんは僕と違い普通のサラリーマンのようだ。
僕が眠りに落ちる頃彼は家を出、僕が目を覚まし「朝ご飯」を食べる頃に帰ってくる。ブラック企業ではない健全なサラリーマン。
けれど帰ってくるとテレビではなくCDプレイヤーの電源を入れる傾向にあるらしい。
何でも、このアパートは壁が薄いので生活音が丸聞こえなのだ。つまり僕が原稿に行き詰まって深夜に呻いている声も、田中さんには聞こえている。田中さんが起きていればの話だが。
こうしてCDプレイヤーから音楽が聞こえている間、僕は実に原稿が捗っていた。彼とは音楽の趣味が全く同じだった。僕の好きなバンドは世間ではあまり有名でないため、嬉しいことこの上ない。
そうして彼は一枚のCDを大体二回ほどかけ終わるとプレイヤーの電源を切り、就寝準備に移る。
うん。実に健康的だ。目が冴え渡っている僕は思う。昼夜逆転はよくない。自分が一番わかっている。
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