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「え!?トモザキ先生のことご存知なんですか!!!!?」
なんというテンションの上がりようだろう。
「…え?え、えぇ…はい」
「わあ!嬉しいな!それでトモザキ先生がどうしたんですか!?」
とても嬉しそうな彼に、まさか本人だとは言えまい。
「…あ、あの」
「はい?」
「家に上がらせてもらっても、…いいですか?」
「はい、どうぞどうぞ」
彼は引き入れるように手のひらで家の中を示しながら、僕の腕を軽く掴む。
「あ、ありがとうございま――」
若干引っ張られながら、感謝を告げている間に、あっという間に居間に到着する。音楽が響く、シンプルな部屋。クローゼットとちゃぶ台タイプのテーブル、綿が少なめの座布団。ハンガーに掛けられたスーツ。CDプレイヤー。ちょっといいやつ。
それから――ひたすら異彩を放つ、本棚。そのほぼすべてに書かれた『トモザキケンリ』の文字。
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