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ふたり並んで大学までの歩道を歩いた。美人じゃないその子は下顎のでっぱった顔を丁寧にメイクして来ていて、上手に着こなしたおしゃれな服を濡らさぬよう慎重に歩を進めた。可愛いと思った。私のジーパンへ雨がはねた。
教室で待っていたアカデミックアドバイザーの先生は、集まった二十人ほどの学生一人ひとりに簡単な面接をしながら成績と履修状況の確認をした。
彼は教育実習のときに研究授業に来てくれた先生でもあり、私のよくも悪くもない平均的な成績を見たあとでそちらに話を持っていった。
「ちゃんとサイトには登録したの? ××さんのことだしまだあんまり動いてないんでしょ。高校の教員なら県に登録、中学なら四つの地区のうち通いやすい場所を選んで登録しておけば、二月か三月頃に臨時採用の電話があるかもしれない……」
セーラームーンになれない今はジェーン・ドゥだから、銀河って名前のついた私の執筆道具をかたく握りしめ、文を紡ぐことのみ考えた。GALAXY Note Edgeは私に名前をくれる。「フラスコで飼う星の話」が今のところのそれだ。インターネット上でしか会ったことの無い友だちが綺麗だねと言ってくれた名前だ。
GALAXYで出逢った友だちとGALAXYから出ないで生きていけたらどんなにいいだろう。
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