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「……とにかくするの、登録しなきゃ電話は来ないんだよ。頑張ろう」
「はい」
リアルの価値。
リアルの価値。
リアルの価値。
リアルの価値。
「分からないことは先生が手伝ってあげるからなんでも訊きなさい、××さん」
「ありがとうございます」
宝石みたいだった。異世界の人だよ、此処にいる人間みんな。私だけほんとうはアクリルアイスなの。石になれないの……
……嫌いな自分の部品ばかり巨大だ。
◆
「客は立入禁止」
「じゃ座って入ります」
「誰がうまいこと言えと」
「今日はホットください」
初めて会ったときからちっとも完成しない例の宇宙色がイーゼルに載せてあって、相変わらず鳥肌ものの綺麗さで彼が筆を走らせていた。
長めの黒髪が彼の腕の動きに合わせて揺れたり横顔を隠したりした。まだ誰にも踏まれていない生まれたての雪の朝に、鮮血をひとつぶぽとん、落としこんだような静かなあやうさだった。
テレピンに薄められた油絵具が遠慮がちに透き通った軌道を描き、香りをまいてカンバスに重なり合った。
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