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私は窒息しそうになった。 この次はこんなふうだった。「電話が嫌いだと? ふん。ならば電話と面接を避けて生きていくうまい方法でも考案しろ。就活の代わりにホームレスになるか? 自殺してみるのはどうだ? どちらにしても全力で応援させて頂こう」。 こういうのもあった。「自分の容姿が嫌なのならなにか努力すればいい。気にしていないと言いつつコンプレックスにまみれて、滑稽にもほどがあるぞ? 徹底的に気にしろ。もしくは徹底的に気にするな。くだらん悩みに時間を浪費する貴方と違い、私は絵の注文が多くて忙しいのでな、悩みにつき合ってやれん」。 ついでにこうだ。「いい加減に現実を見ろ。まさか文芸創作のゼミで小説を書いたからって、それで食っていけるなどと浅はかことは考えていまい? 馬鹿馬鹿しい幻にかまけていないでじゃんじゃん履歴書を書け。ああ、この店に長時間居座って書く気なら路肩で這いつくばって書く方がマシだと思えるよう調教してやるからそのつもりで」。 要するに総じて「うるさい客は立入禁止だ」という意味なのだった。
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