第1章

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この向日葵荘の横の畑には毎年、大家さんが向日葵を植えている。 それは見事に咲いているのだが、今年から、種類の違う向日葵が咲いていた。 暗赤色のブラッドレドの向日葵だ。 それを見るのを楽しみにしている希だった。 夕方になって希が夕食の買い物に行こうとしたら、隣の猪田さんが部屋から出てきて声をかけて来た。 「希さん、もしよかったら、夕食を一緒に食べませんか。」と笑顔でいう。その笑顔も、何だか冷たい感じのする笑顔だ。 希は「え、でも悪いですから。今買い物に行くところなんで。」と答える。 猪田さんは「それじゃあ、ちょうどよかったです。さあ、家にいらっしゃい。一緒にご飯を食べましょ。」と言う。 半ば押し切られたように希は猪田さんの部屋に行く。 部屋に入るとおいしそうなカレーが出来ていた。 そして、部屋に置かれているテーブルに座るように促す。 希は促されるままにテーブルに着く。
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