第1章

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他にも、異常なまでのきれい好き、いや掃除好きで、専用のミニ箒でいつも机の上にはちり一つ落ちていない状態をキープしている。 ぶら下がるか掃除するか――、実験や執筆をしていない時は、もれなくそのどちらかをしている。 そんな机の上には、どこぞの民族が作ったと思われる怪しげな人形が飾られてある。 なんでもお父さんが考古学者で、南米の遺跡の調査に行ったときのお土産らしい。 毎朝誰よりも早く研究室に来ているのは、その人形と会話しているからじゃないのか? そんな噂がまことしやかに囁かれるのも、日頃から先輩の奇行を間近に見すぎているからかもしれない。 そんな先輩が、隣に引っ越してきたのだ。 美人だけれど、そんなことは霞んで消えてしまうほどの変人だ。 なるべく関わることがありませんように…。 明日研究室に行って皆にこの話をしたらどんな顔するだろう。 簡単に想像できてしまうことが悲しくて、逆に笑えた。
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