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私は人影が嫌いだ。
太陽が作り出す、地面に投影されたあの黒い影ではない。
私は、家の窓越しに動く人の気配が、嫌いだ。
あれは確か、小学5年の出来事だった。
当時母は、熱望していた2人目の子供(私の弟)をお腹に宿していた。
家族が4人になることへの希望と、待望の長男誕生への歓喜の勢いで、父は家を購入することにした。
そうして市営住宅から越してきた今の家に住み始め、やがては弟が生まれ、細やかながらも幸福な日々を過ごしていた。
そんなある日、すぐ隣の空き家に、一組の家族が越してきた。
この辺りは、若者が好みそうなモダンな家が立ち並ぶ分譲住宅街で、タウン名も一般から募集して、なぜだか『シスコタウン』などと命名されていた。
私の隣の2階建ては、洋風の四角い箱のような家で、分譲開始と同時に入っていた家族がすぐに引っ越してしまい、空き家になっていたのだ。
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