風に乗って

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その姿を他の者が見たら、目を奪われることだろう。 それ程に、この者たちは美しい。 少女が口を開いた。 「お父さん、お母さん、本当に此処でいいの。ここに私達、蝶の血族の一員となる人がいるの」と不思議そうな顔を見せながら言う。 父親らしき人物が「ああ。サクラ、此処でいいんだよ。私達には、一族となる者の血の匂いをかぎ分ける嗅覚があるからね。ここにはその匂いがとても強くしている。いずれその人物と出会う事が出来るだろう。それにサクラにもその人物を嗅ぎ分ける能力があるはずだからね。我々蝶族は、そうやって一族を継承してきたのだから」と言う。 「そうね。あなた、そうしないと私達種族が滅んでしまう事になるものね」小さく頷くのは母親だった。
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