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「あのランクAのシャドゥゴーレムを倒しに行くってマジなの!?」
「マジだろ、だって揃ってる面子がすごいんだから」
と、生徒達がざわめくなか、撮影班も各々の道具を持って目立たない場所に立っていた。
クレイジーは資料の束を、マスターは小道具の入った箱を、ルーウェインはカメラを、ユキトは白銀の刃を持つ槍を、それぞれ手にしている。
彼らは珍しく真面目な表情で、影から様子を見守っていた。
マスター「い、いよいよ、初の学園以外での撮影ですね」
クレイジー「緊張してんのか?」
マスター「そそそ、そんにゃっ…そんなこと、なな、ないですよょ?」
クレイジー「あ、駄目だこいつ」
マスターとクレイジーが、真面目な顔ながらしょうもないことを話している横で。
ユキト「…生きることから逃げるな、これは命令だ、かぁ…」
ぼそ、と呟いた言葉は、名誉教頭が激励として告げた言葉だった。
クレイジー「…どうした?」
それに耳敏く気付いたクレイジーが、挙動不審になっているマスターを放置してユキトに問い掛ける。
ユキト「なんでもありませんわ…ほらほら、はよ行かんと置いてかれてまうで」
ほらほら、とどことなく嘘っぽい笑顔を浮かべ、クレイジーの背を押すユキト。
白々しさに問い質そうかとも思ったが、そんなことをしていたら彼等を見失ってしまう。
仕方ないか、と追求を諦め、出演者達を追うクレイジーだった。
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