はじめての撮影

7/11
前へ
/75ページ
次へ
「あのランクAのシャドゥゴーレムを倒しに行くってマジなの!?」 「マジだろ、だって揃ってる面子がすごいんだから」 と、生徒達がざわめくなか、撮影班も各々の道具を持って目立たない場所に立っていた。 クレイジーは資料の束を、マスターは小道具の入った箱を、ルーウェインはカメラを、ユキトは白銀の刃を持つ槍を、それぞれ手にしている。 彼らは珍しく真面目な表情で、影から様子を見守っていた。 マスター「い、いよいよ、初の学園以外での撮影ですね」 クレイジー「緊張してんのか?」 マスター「そそそ、そんにゃっ…そんなこと、なな、ないですよょ?」 クレイジー「あ、駄目だこいつ」 マスターとクレイジーが、真面目な顔ながらしょうもないことを話している横で。 ユキト「…生きることから逃げるな、これは命令だ、かぁ…」 ぼそ、と呟いた言葉は、名誉教頭が激励として告げた言葉だった。 クレイジー「…どうした?」 それに耳敏く気付いたクレイジーが、挙動不審になっているマスターを放置してユキトに問い掛ける。 ユキト「なんでもありませんわ…ほらほら、はよ行かんと置いてかれてまうで」 ほらほら、とどことなく嘘っぽい笑顔を浮かべ、クレイジーの背を押すユキト。 白々しさに問い質そうかとも思ったが、そんなことをしていたら彼等を見失ってしまう。 仕方ないか、と追求を諦め、出演者達を追うクレイジーだった。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加