無色の少女

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商品名:クルール ビーユという顔くらいの大きさの透明な丸いガラスに入った、色彩水を売っている。 クルールとはその色彩水の事を指し、感情を色彩化・液状化したもののことを言う。 何らかの原因で感情を失った・分からなくなったひとへ、その人の持つ一番強い感情を映させて貰うことでクルールを提供している。 場所:街の離れの高台の塔 円柱状の背の高い建物で、中は最上階まで螺旋階段となっている。 クルールの恩恵を受けるには、まずは高台へと訪れ長い階段を昇らなければいけない。 店主:無色の少女 無色であり、無職でもある少女がクルール売りの店主をしている。真っ白な少女。 螺旋階段が続く壁にガラスの箱で保管した様々な色のクルールをぎっしりと敷き詰めている。 自分が無色であることが起因してか、色の付いたものが大好き。 無色の少女が触れた水に体の一部を浸すことで、その人の中で一番強い感情を映すことが出来る。 クルール集め(色集め)が好きで、今まで集めてきたクルールはビーユに入れて宝物として保管している。 備考:店の存在理由 単純に色が好きということもあるが、無色であるが故に無欲であり、無感情である彼女はお客として訪れる人々の感情を見ることが好きだった。 何の感情をどういった経緯で失い、どうして取り戻したいのか。 少女には決して理解出来ない感情を持ち訪れるお客に彼女は静かに耳を傾け、そしてたった一つ、膨大なビーユの中からお客様に合ったクルールを選び出す。 どれだけ感情に耳を傾けても、無色の少女には決して何もわからないけれど。 ただ少女は、感情を取り戻した人達が塔から去る際に見せる笑顔をどれもこれもずっと忘れられないでいた。 待ち人:お客様 高台の塔、クルールが並ぶ壁沿いに長く高い螺旋階段の最上階。 そこで少女は毎日、お気に入りのクルールが入ったビーユを抱えて、お客様のお越しを待っております。
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