春の嵐・第一章

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「晴海牛乳とか子供かよお」 ニヤリと笑って政宗が言うと、晴海は拗ねてそっぽを向く。 「まだ身長伸びるの諦めてないんだからね」 「お前はそのままの方がいいな・・・。抱きごこ・・・」 思わずいいかけた言葉を飲み込む。 「抱きごこ・・・?」 「なんでもねーよ!」 「変なこと言わないでよね」 お前がかわいいのが悪いんだよ。 心のなかで呟き、政宗はコーヒーを一口。 「晴海って頭いいんだろ?今日なんか読んだりしないのか?」 「なんかって?」 「ほら、新入生誓いの言葉みたいなやつ?」 「やっぱり中等部からの生徒が読むんじゃないの?入試試験無いし」 「そうだよなー。そうじゃないと俺みたいなの高校行けなさそうだし」 「それは自分で言ったらダメだよ」 晴海が脱力して言うと、にかっと政宗が笑う。 「飯食ったら行くぞ-」 政宗が晴海の鞄も持って立ち上がる。 「う、うん。でも鞄返して・・・」 残りの朝食を流し込むように食べ、晴海は政宗の後を追いかけて校舎へと入っていった。
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