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「あぁ、先生も受験させた覚えはない。
容姿端麗は当てはまってるぞ。
お前はここら辺りではアイドル的存在だからな。
まぁ、とりあえず中身を確認してくれ」
促されて封筒を開ける。
『私立陽明学園入学のご案内
この度は突然のご案内に驚かれたことかと思います。
高臣晴海様。
理事長御子息の御推薦により、私立陽明学園へのご入学が許可されましたことをここにご案内いたします』
「理事長御子息・・・。知り合いか?」
「知りません・・・」
晴海の頭の中ではクエスチョンマークが躍り狂っている。
その他にも、制服採寸は自宅にて行います、や入学金、授業料、寮費などは今の優秀な成績のままならば全額免除など様々な案内が書かれている。
「全額免除・・・」
晴海は目を輝かせる。
実は晴海は天涯孤独の身。
育った施設は中学卒業と共に出ることになっていたため、今後のことについて頭を悩ませていたのだ。
「先生!僕、ここに行きます!」
「そうか。決まってよかったな」
肩に手を置かれ、大きく頷いた晴海。
それが、九月の事だった。
ーーー慌ただしく時は過ぎた。
制服の採寸は十二月に。
荷物は一昨日、スーツを着た男達が取りに来て。
入学式前日。
晴海は初めてロールス・ロイスに乗った。
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