だて眼鏡

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……俺の可愛いあの人は。 いつも国語資料室で本……資料を読んでいる。 ほとんどの奴が 「幾ら男子校でもあいつには勃たない」 とか云うけれど。 俺にとってはとっても可愛い人。 「ハル」 声を掛けると ハルは読んでいた資料から顔を上げた。 「咲谷くん。 学校でそれ禁止だって……」 「はいはい。センセ」 後ろ手でドアを閉め、鍵を掛ける。 ハルはまた、 いつものように困ったみたいに笑ってる。 髪はひっつめお団子でひとまとめ。 ワインレッドのアンダーリムの眼鏡。 ナチュラルメイクと云えば聞こえはいいが、 ただ単にファンデーション塗って 地味な口紅塗っただけ。 確かにぱっと見は みんなが云うように根暗地味女だけれど、 まあ、ハルの可愛さなんて 俺だけが知ってればいいからいい。
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