だて眼鏡

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……俺は子供だから。 ハルにこんな顔、させてばかりだ。 「ハル」 「なに?……え、返して!」 上げたハルの顔から眼鏡を引き抜いた。 ハルは取り返そうと必死だけど、 俺よりちっこいハルの手は届かない。 奪った眼鏡を掛けてみる。 「……なにこれ」 ほんとにこれ、 度が入ってんのかよ、と疑いたくなるほど 視界にはほとんど変化がない。 「まさか、伊達?」 「……違うよ。 そこまで目が悪いわけじゃないんだけど。 ……でも、 掛けてた方がみんなの顔がよく見えるでしょ」 ハルの顔が少し赤くなる。 髪をほどいて眼鏡のないハルは いつもの姿からは想像ができないほど可愛い。 ……まあ、この姿知ってんの、 学校内でも俺くらいだけど。
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