第1章

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「何か言え。言い訳を聞かせろ」 「あたしは、アイツを護るためにしたんだ。アイツは学校で苛められていた。元々、苛められていた奴がいたのに、そいつを庇うから、皆で無視することになっていたはずなのに、声を掛けるから、次の苛めのターゲットに選ばれちまった。苛められている奴なんて、放って置けば良かったんだ。案の定、そいつは転校して、残された優は、もっと酷い苛めにあった」  ゆうは自分を庇うように、両手で自分を抱き締めていた。それだけ、彼の中で見て来た光景は辛かった。まして、実際にされている本人がいかに苦しかったのか、想像に難くない。そして、いつも損をする。 「あたしがいてやらないと、アイツはバカを見るんだ。ホント、アイツは優しすぎるんだ。人の良いところばっかり見て、悪いところに目を向けられないは不幸になる。騙されて、正しいことをしているのに、一番苦しむんだ」 「分かっているではないか、その肩の荷を降ろせと言っているのだ」 「アイツが消えたら、あたしの存在価値は無くなるよ」  ゆうは言いながら、瞳を涙で潤ませていた。
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