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「朝までいてくれたら疲れが取れる。襲う気はない」
いつもの言葉を付け加えると、姫良は複雑な表情を見せた。
できれば、少しでも容易に自制がきくよう、付き合い始めたばかりの頃のようにただほっとしてほしい。
そんなエゴイスティックなことを思いつつ、くちびるだけは奪う。
姫良は小さく笑って、紘斗の手をつかんだ。
「パパ、貴刀の契約社員の話、まだゴーサイン出してくれないの。大学行かなくなったらすごく暇になるのに」
「……後回しにしてるんじゃなくて何か考えてるんじゃないか」
「そう?」
「ああ」
おれが大事なことを口にするのはそう遠くないだろう。
魔法が切れてしまう時間制限など必要ない。
いまという時間を積み重ねていけばいい。
そのときは、家族になることを怖がらないでほしい。
-The end.-
Will be continued in the next time.
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