第14話 シンデレラの魔女

2/17
105人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
ミザロヂーの店内は、こそこそ話も声をひそめないでいいほどにぎやかで、なお且つ異様な雰囲気だ。 狼男もいればピエロもいて、ゾンビと聖職者が酒を酌み交わし、原始人と白雪姫は仲むつまじく談笑をしているという具合だ。 十月三十一日の夜はミザロヂー主催で毎年ハロウィンパーティが開かれる。 去年も姫良に誘われたが、仕事の都合で行けず、紘斗は初の参加だ。 ちょっとまえは心地よかった風が冷たくなって、うっとうしく感じていくなか、ごった返しの人の多さが店内の温度を上昇させていた。 「紘斗、こういうおふざけもおもしろいと思わない? 出張から帰ったばかりだからどうかと思ったんだけど。気分転換になった?」 灰かぶり姫に扮した姫良はおどけた様で肩をすくめ、ハロウィンカクテルを口に含むと、グラスをカウンターに置いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!