高柳夕梨という女

2/11
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
──4月22日。 ここは会社からの最寄り駅に近い場所にある、喫茶店。 なんだかものすごく気が重い。 来なきゃ良かったな…なんて本気で後悔し始めたその時、向い合わせで座っている彼女が沈黙を破った。 「突然呼び出して、ごめんなさいね。用件は……分かるでしょ?」 佐伯主任の元カノ、高柳夕梨さん…。 「分かりません。仕事の話ですか?それならわざわざ外で会わなくても、会社で…」 「違うわ!……翔のことよ。あなたたち付き合っているんでしょ?」 …………覚悟は一応してたけど。 「どうして高柳さんがそんなことを気にするんですか?」 「先週末、彼が休日出勤してたのは知ってるかしら?私もだったの。彼に頼まれたのよ……手伝って欲しいってね」 「そうですか…」 主任から仕事を頼むなんて、よっぽど忙しかったのかしら。 高柳さんが早く教事1課の仕事に慣れるように配慮してあげたのかも。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!