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参った……。
『───今日は、つけずにしませんか?』
理性がブッ飛んだ瞬間だった。
なんだこれ?なんの誘惑だ!?まひろ……。
俺は一瞬だけ、ほんの一瞬だけだけど、その誘惑に負けそうになった。
悪魔の囁きかと耳を疑ってしまった……ハニートラップかと。
しかし、自制心が強い俺はすぐに我を取り戻したんだ。
大事な約束を、違えるわけにはいかないんだと。
俺の…否、俺たち2人の未来がかかっているんだから。
その想いが俺をギリギリで思い止まらせてくれたんだ…。
俺がまひろの母さんと交わした約束が。
あれは、昨年の夏のことだった。
蘭会計事務所のBBQに参加させてもらったときに、秘境渓谷でお互いの素直な想いを伝えあった、俺とまひろ。
やっとこれで本当の意味での恋人になった……。
その日は父さんが担任しているクラスの奴等と合宿中だったのをいいことに、まひろを家に連れて行きたいと考えた。
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