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楽しい雰囲気ぶち壊して女子に怒鳴り散らしたのは大人気なかった。デカい野郎に目の前でキレられるとか恐怖だったやろうに。今更反省してももうアウトだ。しょんぼりしながら彼女に押し付けた綿あめを受け取ろうと手を差し出した。
『あのさ……無理して食わなくていっから』
『優ちゃん』
『何』
『ありがとー!』
へ?
『すっごく、すっごく嬉しい!えへへ……えへへへへ』
顔よりデカイ綿あめの割り箸を両手で握りしめたハルカは、祭りに来てから1番の笑顔になってた。
お……おおおっ!
そかそか、よかった、よかったあ!
しきりに鼻の下を人差し指で擦り、照れ隠し。
んじゃあっちでのんびり食べよっか、って場所移動。笠に苔が乗っかって角が潰れ丸みを帯びた灯籠たちの側の石垣に寄りかかり、光と人で賑やかなトコから少し離れた静かな場所にたたずんだ。
『綿あめ美味しい~』
『ん』
『ほら、お髭』
『ふはははは!』
予想以上に歯でちぎってしまった綿をキャッキャと笑いながら人差し指で口に押し込み、ハムハムと無邪気に食べる君を目を細めて見てた。
『優ちゃんもどうぞ!』
『ん……エエッ!?』
2度見してしまった。不意打ちで差し出された綿あめは、彼女の唾液で少し溶け濃いピンク色になっていた。
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