前半戦

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 左側に設置しているコーナーからガチャガチャ音が聞こえる。  これはボディソープをプッシュしてる音。ゴシゴシはスポンジを泡立ててる音。  来るぞ、もうすぐ来るぞ。どうしよ、いつ来るの、いつ来るのいまでしょ? ちょ、マジでドキドキする。  てか、いつまでスポンジの泡を立ててるんだ。絶対にそのスポンジ、羊になってんじゃね? モッコモッコしてるだろ。絶対に太った羊だろ。親切丁寧は喜ばしいんだが、さっきシャワーで全身を濡らしたからいい加減にカラダが冷え切っ  ピトッ 「ひゃあん!」 「ええっ!?」  スポンジ背中に触れただけで俺、声がバカ……恥ずかしい……。 「あ。んとさ、なんか異常にスポンジ冷たくてビックリしただけ」 「あ、ゴメン!そうだよね……気が利かなくてダメね私。1回洗面器に通してあっためてから擦るね」 「んにゃ。謝んないで。俺こそ変な声さ、ゴメン」  なんとかごまかしたけど緊急事態。こんな感覚、この先おっきしない自信がない。  自分で擦る時は勿論こんな声なんて出ない。好きな女が洗うってだけで肌が敏感になるなんて。  胡座の中央に目を向けた。ピコーンってなったらスケベ心を悟られてしまう。心配して来てくれた彼女の親切を台無しにしてしまう。つくづく男って不便だ。上と下で意思が違いすぎるもん。  お願いおっきすんな!  お願い気合い入れるなよゴルァ!  頭の中で念仏の如く『フニャれフニャれフニャれ』のローテーション。  ピトッ。 「(んぐっ!)」 「どお?冷たくない?」  ゴシーーーーーッ…… 「(はわっ……んあっ!)大丈夫、冷たくないよ」  ゴシーーーーーッ…… 「(や、あ、あっ、あっ、や、やめっ!)」 「もしかして優ちゃんくすぐったい?」 「は、なんで?」 「だって……フフフ……擦る度に背中がクネックネッてなるー。面白いフフッ」
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