前半戦

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 来年は高校生。  さすがにそんな歳に隣の家の男子と2人で祭りは無いと思う。  彼氏が出来たら俺はお役御免ってヤツだし、何よりも彼氏じゃねぇ男と2人で夏祭りはハルカ的にそろそろアウトだろうな、と。  恒例行事の夏祭りボディーガード、やっぱ今年で終わるのかなあ。  仕方ねえよ。成長するってそんなもんだ。中3でも贅沢なくらいだろ。  せめて最後の道のりを楽しく過ごしたい。後悔しないように目に心に焼き付けておこう。  墓場の前。雑草が繁る田んぼの畦道。なんでこんなトコにあるのか不気味過ぎる地蔵。じっとりと汗が出てくる蒸し暑さ。明かりは俺が持つ懐中電灯だけ。  ――大丈夫だよ  ――俺がいるから怖くないよ  そんな事言えない俺は大声で無理矢理テンション上げ、恐怖なんて飛んでけゴルァと明るく努めた。  ンゴォー  ンゴォー 『キャーッ!』 『大丈夫だよ、あれはウシガエル……』  ドキッ  なんか温かいのが手に触れた。え、何、まさか妖怪……。  ガッと首を捻り左手を見た瞬間、びっくりしすぎて奇声を上げそうになった。 『えへへ』  細くなった目に無邪気な笑顔は見えるけど、顔色は暗すぎ全然わかんない。って事は、一瞬でほっぺが火照っちゃったの、お前に見られずに済んだ。  これさ、お前、手ぇ……俺の手掴んでる……。どうしようコレ、手ぇ……。
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