94人が本棚に入れています
本棚に追加
来年は高校生。
さすがにそんな歳に隣の家の男子と2人で祭りは無いと思う。
彼氏が出来たら俺はお役御免ってヤツだし、何よりも彼氏じゃねぇ男と2人で夏祭りはハルカ的にそろそろアウトだろうな、と。
恒例行事の夏祭りボディーガード、やっぱ今年で終わるのかなあ。
仕方ねえよ。成長するってそんなもんだ。中3でも贅沢なくらいだろ。
せめて最後の道のりを楽しく過ごしたい。後悔しないように目に心に焼き付けておこう。
墓場の前。雑草が繁る田んぼの畦道。なんでこんなトコにあるのか不気味過ぎる地蔵。じっとりと汗が出てくる蒸し暑さ。明かりは俺が持つ懐中電灯だけ。
――大丈夫だよ
――俺がいるから怖くないよ
そんな事言えない俺は大声で無理矢理テンション上げ、恐怖なんて飛んでけゴルァと明るく努めた。
ンゴォー
ンゴォー
『キャーッ!』
『大丈夫だよ、あれはウシガエル……』
ドキッ
なんか温かいのが手に触れた。え、何、まさか妖怪……。
ガッと首を捻り左手を見た瞬間、びっくりしすぎて奇声を上げそうになった。
『えへへ』
細くなった目に無邪気な笑顔は見えるけど、顔色は暗すぎ全然わかんない。って事は、一瞬でほっぺが火照っちゃったの、お前に見られずに済んだ。
これさ、お前、手ぇ……俺の手掴んでる……。どうしようコレ、手ぇ……。
最初のコメントを投稿しよう!