お(隣)付き合い。

10/22
前へ
/22ページ
次へ
「だってここ」   私はテーブルに広げた便箋のある一文を指差した。 「“ワールドカップ”って書いてあるじゃないですか。ネットで調べたんですけど、ワールドカップって4年に一度しかなくって、次やるのは3年後のロシアなんですって。つまり、この手紙を書いた犯人は‥‥‥」   びしっ。   私は犯人を追い詰めた探偵のごとく、センパイを指さした。 「僕って言いたいのか?」 「いえ」   私はその指をそのまま天井に向けた。 「つまり、この手紙を書いた犯人は3年後に私の隣に越してくる“ナナセ”って女の子です」 「別に未来は上からやって来るわけじゃないけどね」 分かってますよ。ノリです。 「なるほど。笹垣の言い分は大体分かったよ」   センパイは腕を胸の前に組む。 「で、その手紙はどうやって未来から?」 「それは、その。郵便受けが未来と繋がってたとかですよ」 「なら、笑い声は?」 「うぐっ」 そこまで考えてなかった。 「適当だなぁ、笹垣は。まあ、そこが可愛いトコなんだけどね」   センパイは猫を撫で回す感じに、私の頭をうりうりとゆすった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加