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「だってここ」
私はテーブルに広げた便箋のある一文を指差した。
「“ワールドカップ”って書いてあるじゃないですか。ネットで調べたんですけど、ワールドカップって4年に一度しかなくって、次やるのは3年後のロシアなんですって。つまり、この手紙を書いた犯人は‥‥‥」
びしっ。
私は犯人を追い詰めた探偵のごとく、センパイを指さした。
「僕って言いたいのか?」
「いえ」
私はその指をそのまま天井に向けた。
「つまり、この手紙を書いた犯人は3年後に私の隣に越してくる“ナナセ”って女の子です」
「別に未来は上からやって来るわけじゃないけどね」
分かってますよ。ノリです。
「なるほど。笹垣の言い分は大体分かったよ」
センパイは腕を胸の前に組む。
「で、その手紙はどうやって未来から?」
「それは、その。郵便受けが未来と繋がってたとかですよ」
「なら、笑い声は?」
「うぐっ」
そこまで考えてなかった。
「適当だなぁ、笹垣は。まあ、そこが可愛いトコなんだけどね」
センパイは猫を撫で回す感じに、私の頭をうりうりとゆすった。
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