お(隣)付き合い。

13/22
前へ
/22ページ
次へ
一回僕の部屋に寄ってもいいかな?   そういうセンパイに付き合って、私はまずセンパイの住むアパートに着いた。 「なにを持ってきたんですか?」   私を外で待たせてから一分もしないで戻ってきた、割と大き目の茶封筒を手にするセンパイに尋ねると、 「ないしょ」   って、はぐらかされてしまった。 そんなこんなしているうちに、目的地に到着。 「ここが、私のアパートです」 「うん、知ってる」 「なんで知ってるんですか」 「何度も笹垣のこと家まで送ってやったろ?」 そういえばそうでした。 私達は階段を登り、例の時を駆けるかもしれない郵便受けの前に立つ。 「今日は居ないといいな。岡田さん」 「なんで岡田さんを知ってるんですか」 「さっきの手紙に書いてあったろ」   そういえば、そうでした。 「で、どうするんです?」 「そりゃ、実際にしてみるんだよ。本当に未来と繋がってるかどうか」   センパイは徐に手に持った茶封筒を郵便受けに差し込んだ。   バスケットのダンクシュートのように勢い良く振り下ろされたそれは、私が止める間も無く、郵便受けに吸い込まれていく。 「ちょっ、センパイ」 「見てみろよ。笹垣」   私を制し、センパイは郵便受けの挿入口を指で押さえ、中を見ろと促す。   私は渋々、センパイの指示に従い、郵便受けを覗くと、 「封筒がない」   確かに入れたはずなのに。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加