1人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、私は午前の講義を全てサボった。
「ひどい顔」
ふらつきながら洗面所の前に立った私は、鏡に映った目元の腫れた自分に呟いた。
「センパイ」
優しかったセンパイ。
面白かったセンパイ。
かっこよかったセンパイ。
私に見せてくれる全部が大好きだった。
「あき、ひ、と、セン、パイ」
もう、センパイは私の近くに居てくれない。
センパイの隣に、私はいちゃいけないんだ。
私は肩を抱いて、その場にくずおれた。
なんで、センパイの好きな人が私じゃないのかな。
もし、もしも叶うなら過去に戻って、まだ誰も好きになってない先輩にこの想いを伝えたい。
いっぱいいっぱい、あなたのことが大好きですって伝えて、先輩にも私の事をとってもとっても好きになってもらいたい。
そんなこと、絶対にかないっこないのに。
けど、そんな妄想でもしないと、切なさで張り裂けそうな胸の痛みに、耐えられそうになかった。
最初のコメントを投稿しよう!