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「‥‥‥センパイはどうなんだろう」
帰り際、センパイにくしゃくしゃと撫でてもらった前髪を、私は指先でクルクルと回す。
「私はセンパイにとって、やっぱりただの後輩なのかな」
『ったははははっ』
その笑い声は隣の部屋からのものらしかった。
お世辞にも厚いとは言えない白い壁が、小刻みに振動する。
隣は友達同士で集まって飲み会でもしてるのかな。と一瞬思って、間を置かずにはて?と私は小首を傾げた。
「隣って人住んでたっけ?」
私が住んでいるのは、二階の東側の角部屋。
その隣の部屋は確か、半年前から入居者を募集しているのだと大家さんは言っていた。
しかしいくら頭の上に疑問符を並べ立てても、隣から垂れ流れてくるこの喜々として楽しげな笑い声を否定しきれない私は、
「まっ。私の外出中に越してきたんだろう」
考えることを放棄した。
「寝よ」
そのドンちゃん騒ぎを子守唄に、私はベットに抱かれ、次第に心地よい闇に落ちていった。
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