お(隣)付き合い。

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翌朝、午前7時。   洗面所で顔を洗い、次いで場所をリビング兼寝室に戻し、私は清潔な服に着替えながら、朝食のトースト二枚をホットミルクでいつものように流し込んだ。   そうしてぱたぱたと忙しなく動き回ること1時間。   身支度を終えた私は部屋から出て、鍵を閉める。   階段を降りようとして、私は昨日のお隣さんのことを思い出した。   お隣さんの磨りガラスに視線を移す。   私は日を跨ぐ前に寝たけど、それからどのくらい騒いでたのかな。   大丈夫だったんだろうか。   私がこう心配をしたのは、私のふたつ隣に住む岡田さんの為だった。   岡田さんというのは、髪を短く刈り上げている20代後半の男性のことだ。   この人は大変神経質で怒りっぽい人で、これまでにかれこれ3人ほどこのアパートから追い出している、らしい。   らしいというのは、大家さんから聞いた話で、私が実際に目にしたわけではないからだ。 「教えておいてあげようかな。岡田さんのこと」   折角の転居先からあっという間に追い出されてしまうんじゃ可哀想だ。それに一応、昨日からお隣さんなわけだしね。 「おっと」   インターホンを押そうとして、すんでのところで思い留まる。   まだ寝てるかもしれないだろうし、起こすのも申し訳ないな。   私はバックからルーズリーフとボールペンを取り出すと、自分の部屋のドアを机代わりにして、岡田さんのことやこれからお隣さん同士ぼちぼちやっていきましょうといった旨を記して、郵便受けに投函した。   何の音も鳴らさずに、紙は真っ暗な長方形の箱に落ちる。 「これでよし、と」   たいしたことはしてないはずなのに、なんだか人助けをしなような心持ちになった私は、浮かれ気味に階段を降りた。
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