8人旅 後編

2/37
前へ
/37ページ
次へ
神戸 「おい、射手矢・・・」 射手矢に駆け寄る神戸。 神戸 「どうした? 射手矢!」 射手矢 「ん・・・ブハッ!」 神戸がうつ伏せの射手矢を仰向けにすると吐血した。その血飛沫は神戸に顔にかかった。 神戸 「何でだよ、射手矢! しっかりしろ! 死ぬな! おい!」 射手矢 「神・・・戸、俺・・・」 射手矢は震える声で神戸に訴える 射手矢 「俺・・・だって死にたく・・・・なぃ」 神戸 「射手矢・・・」 射手矢 「神戸・・・・・・俺」 神戸 「うん・・・?」 射手矢 「俺・・・バレー部で最高に・・・楽しかった、感謝してる・・・。ありがとな・・・・・・・」 射手矢 「死ぬ・・・な・・・ょ・・・・・・・」 射手矢 「・・・・・・」 射手矢はそれから声を発する事なく、開いた目は徐々に生気を失っていき、最後は動かなくなった。 神戸 「おい、待てよ・・・」 神戸 「待てよ! 違う違う! こんなのおかしい! こんなのって・・・・・・!」 神戸は涙を流すと射手矢の血が顔に付いていたのでまるで血の涙を流しているように見えた。 神戸 「ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ。死ぬな! 射手矢」 神戸は長身の射手矢を背中におぶるとそのまま先程の家へ戻ろうとした。 神戸 (どうして、どうしてこんな事に? ルールか? 班員が一人でも死ねば全員道連れ・・・。でも誰が・・・) そう考える神戸は頭にふとある人物が浮かんだ。 神戸 (坂東?) 神戸 (やっぱり自殺したのか? だとすると射手矢がこうなったのは坂東の拘束を解いた俺のせい?) 神戸 (いやでも、榛葉が見ててくれているはずだからそれは・・・。いや、何を考えていたんだ俺は! 榛葉は女子だ、本気を出した坂東を止める事ができない可能性の方が高いじゃないか!) 神戸は足早に家へ向かった。 家が見えてくると玄関付近に二人倒れている。西条と勝山だ。二人とも吐血し、そこらじゅう血の海だった。 神戸 (くっ・・・やっぱりルールのせいか) 神戸は家の中へと入る。すると奥から声がする。 神戸 (中川?) 神戸は射手矢を担いだまま奥の部屋へ行った。 中川 「誰か!」 神戸 「中川!」 部屋に入ると中川、そして倉木と森の死体があった。 神戸 「中川・・・これ」 中川 「突然倒れて、血を吐いた。神戸くん、背中の人は?」 神戸は顔を横に振ると、また涙が溢れた。 神戸 「もうダメだ・・・呼吸も心音も感じない・・・」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加