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国道沿いの歩道を歩くと、ほんの少し、秋の風を感じた
次々と俺の横を車が通過していく
1台の車が「ビリー・ジーン」を大音量で響かせながら走り去っていった
「迷惑な奴だな…」と思いながらも、懐かしむように思わず口ずさみ、リズムをとる
車が途絶えると辺りは少し暗くなった
まだ耳にこだまする「ビリージーン」
誰もいないことを確認すると、俺は久し振りにステップを踏んだ
気のせいか、足元が少し明るくなったように見え、顔を上げ空を見上げる
すると、
月の周りをムーンウォークしている1人の男がいた
『スーパームーン』
俺は大きな月を指差しポーズを決めた
月の中には兎ではなく、一匹の猿が主人を待っていた
男はムーンウォークしながら猿を抱き抱えると
ゆっくりと月の中へ消えていった……
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