Chapter-1-End-declaration-

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  ━━━━━━━80年前━━━━━━━━      『第二次世界大戦』    ━とある極寒の極秘基地━ 大きな爆音が凍てつく闇の中で響き渡った。 降り積もる雪は大地を真っ白に染め、 猛吹雪が山を駆け抜けている。 上空へと立ち上る黒煙は吹雪により 吹き飛ばされていた。 その直後、山の頂上辺りから地鳴りと共に雪崩が 爆音のした場所に向けて襲い掛かった。 雪崩は木を薙ぎ倒し、森を捩じ伏せながら 川の水を溢れさせてより勢いを増す。 そして僅かに残った炎と燃え屑となった建物を 飲み込みながら麓の極寒の氷河へと流れ落ちた。 全てはここから始まった。 “彼“は目覚めるまでひたすら極寒の中で 凍らされていた。 解凍されるその時をずっと待ちながら。 ?「奴は死んだのか‥‥‥?」 雪に馴染む色で身を包み込んだその男は もう一人いた同じ服装の男に言った。 ?「死んだだろうよ。 爆弾で吹き飛ばした挙げ句 雪崩に巻き込ませて氷河へと放り出したよ。 氷を突き破って深い海の底へと 沈んだんだろうぜ? まずただじゃ済まねぇよ。」 遠目から山の光景を眺めながら ぶっきらぼうに返す。 寒さに参っているのかは知らないが それを言い訳にして計算を怠った様に聞こえる。 ?「隠蔽工作は死体を確認してからすべきだろう? 奴は普通の人間じゃなかったのを忘れていたのか? 明らかに身体の構造がおかしい。 骨折しても常人と比べると 倍の早さで完治したんだぞ?」 ?「それを踏まえても奴だって心臓はあるし、 血も流れてるんだ、まず生き残れねぇよ。 それにこんな極寒の中を どうやって生き残るんだよ?」 ?「‥‥‥奴が本当に死んでくれるといいんだが‥‥ 政府の闇を覗いてしまったんだからな‥‥‥!! 死んで貰わないと"困る"‥‥!!」 ?「‥‥‥ひでぇもんだよな。 国のために尽くした 軍人が国に裏切られるなんてよ。 恨むならお偉いさんを 恨んでくれよな‥‥‥!!」 ━━━━━━━???━━━━━━━━ ゴォォォォ‥‥‥‥!!! 強風は全ての生き物を拒むような勢いで 極寒の地獄を与える。 しかし、 もう既に身体の感覚は無くなっていた。 変だな‥‥‥感覚が無いと 手足を動かしてるのかも分からない。 薄れ行く意識の中そんなことを呟く彼。 だが━━━━━━━ ━━━━彼には腕も脚も無かった。  
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