Chapter-1-End-declaration-

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佳奈以上に大きな果実が 山伏の体を押し返すように 反発してくる。 そして大人の女性の匂いに 包まれて思わず鼓動が跳ね上がる。 山伏『ま、愛美さんっ‥‥‥‥!?』 恥ずかしさに顔を赤らめるも 心は何処か暖かくなる。 愛美『‥‥‥‥山伏クンはとても 頑張ってる‥‥‥‥、、、 これまでずっと独りで 戦ってきたんでしょ‥‥‥‥? だから‥‥‥‥ご褒美‥‥‥、、、』 そう言って愛美は 胸に抱き締めた山伏の頭を 優しく撫で始めた。 ━━━━━ドクン! 心が苦しみの悲鳴を上げている。 あの時から オレは心を閉ざして 生きると誓った‥‥‥‥。 閉ざした心を封じ込めるために 無心を抱いて生きると決めた。 "感情"を捨てて生きて行こうって 決めたんだ‥‥‥‥‥‥‥。 そう決めた筈の心が 苦しんでいる。 どうして誰かの温もりに 触れている時だけ心が ズキズキと傷むんだろう‥‥‥、、、 山伏に足りないモノ、 それは正に"愛"だった。 親からの愛情が 足りないまま育ったからこそ 山伏は心を閉ざしてしまった。 そして山伏が抱く 心が傷むというのは 愛を捨てたからこその傷み。 愛美「‥‥山伏クンは本当に偉いわ‥ 悪夢のような現実に対しても 逃げずに立ち向かって 皆を助けようと必死になってる‥‥!! それは誰もが出来ることじゃない‥‥‥!!」 そんな励ましの言葉を掛ける愛美。 それは教え子に優しさを向ける 教師そのものであったが それもその筈。 元々教師になろうとしていた愛美だが 彼女には"色々"と教師に向かない点が あったらしく、 結局なれなかったらしい。 山伏『‥‥‥‥‥‥っ!!』 心臓が跳ね上がると同時に 心の奥底の傷みも強くなる。 思い出すかのように 脳裏に過るのは母との膝枕の思い出。 優しく抱き締めてもらった思い出。 これまで過去に付き合った彼女との 腕を組んで歩いた思い出。 山伏の閉ざした心を 呼び覚ますかのように 幾つも忘れ掛けていた思い出が 脳裏を過って行く。
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