7 勇往

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吐き捨てられた肉塊、肉片がピクピクと鼓動し、動きを見せた。 盛りあがり、沈みを繰り返しながら、鼓動は激しくアメーバのように動き出す また食い散らかされた身体にも異変が見られた。 指や腕が動き出し、上体を起こしはじめたのだ この異常事態を目にした一同 チコは険しい顔つきで注視し抜刀の構えをとる 江藤も四足態勢で威嚇の唸り声をあげる中 七海「うそ… なんで…」 そんなおどろおどろな七海の腕が突如掴まれた。 腕を掴むのは海原 海原は異変に注目しながら出来るだけ離れようと、七海を引きずり、後退させた。 また異変を目にする刀刃隊も一斉に刀を握り締めた。 何が起こってるのか… 何がはじまるのか… 何が何だか分からないが…  この異変… 紛れもなくこいつはまだ生きいる… ならば… 今度こそ完全なトドメを… 宴「叩っ斬ってやる」 激情する宴が刃を向け、動きだそうとするや チコ「駄目」  薊「止めろ」 制止の一言を受け宴は足を止め、行動をためらった。 次の瞬間 パカッと裂けた身体から数本のはらわたが勢いよく飛び出してきた。 一同 身体をピクッとさせた。 そしてそのはらわたが勢い良く肉塊や肉片へと飛びついた。 小虎「っぶねぇ~ 今行かなくてセーフだったね 飛び込んでたら…」 宴「……」 次の瞬間数本のはらわたが肉塊や肉片を拾い上げ、同化しはじめた。 肉塊、肉片を回収し、一体化し肥大したはらわたが収縮 腹の中へと吸い込まれ、収められた。 間口「おい これ何の特撮だ? その筋の専門だろ」 名倉「違う違う 俺は時代劇のチャンバラ専門だ それに撮影技術なんか何も知らん」 数秒間の静止が訪れ、間口、名倉が凝視した矢先 バン 間口、名倉がビクつかせると共に 腹の裂目から突如スキャットマンの頭部がうねりながら現れた。 脈動するおぞましいはらわたの束となる尾を蛇行させ それに繋がりかろうじてスキャットマンだと認識出来る程度の復元されたおぞましい頭部が空中を浮遊 面影は長髪と輪郭のみだが 明らかにスキャットマンのと思われてる顔 その醜悪な顔が空中を漂い、口から深い息が吐かれた スキャットマン「ハアァァァァァ~」 次の瞬間 まるで風船を膨らましたかのようにその顔が膨張し巨大化しはじめた。 塚崎「チッ…ヤバ過ぎだろこれ」 スキャットマン「あ…あ…あぁぁぁぁぁ~」 顔面に浮き出る血管が脈打ち、また皮膚下を無数の何かが這いずる中 どんどん顔は巨大化 同時にスキャットマンから言葉が吐かれた。 スキャットマン「あぁ~ なんたる失態… じつに嘆かわしい事態…… 己でこのような決断を下し 行為に応じた事 許してしまった後悔…… あ~ 不本意ながらまさかこれに頼るなど夢想だにもせぬわぁぁ~~」  顔は2メートルを越え 更に膨らみ大きくなった。 スキャットマン「……いくらよんどころないとはいえ このような下劣な物に頼ってしまった事~ もう己の面子も自尊もズタズタのズタボロよ~」 膨張がおさまった。 スキャットマン「……この怨み 晴らすべからずよ… ハァァァ」 薄ら笑みのスキャットマンが大口を開き そこには3メートルを越える巨大な顔が江藤、チコ等を見下ろしていた。
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