7 勇往

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スキャットマン「うぐぉぉ」 チコの一振りで視覚を奪われ悶えるスキャットマン チコはそれを落ち着いたまなこで見下ろした。 そして冷静な口調で口にした。 チコ「あなたの妖術は全て見切った 封じたよ もう終わり」 刀を振りかざすや視線を向け、静かにそれを下ろした。 スキャットマン「小娘がぁぁああ~」 そしてチコが脚をどけたと同時に ドスッ 上体にのしかかった重み 江藤「ゲッヘヘヘ」 涎を垂らし、ひどい口臭を振りかけながらスキャットマンに顔を近づける江藤がいた。 トドメを譲ったチコは眼を閉じ、鞘へと納刀しながらその場から離れ出す 江藤は口を開き、牙を剥き、躊躇無く食らいはじめた。 スキャットマン「ぐわぁ ぐっ ぎゃゃゃややや」 スキャットマンが羞恥無き哀れな絶叫をあげ、バリバリ食された。 薊「勝負ありか… こうもあっさりと 流石は棟梁」 復活後 ついに勝負を決し、チコは刀刃隊の元に歩み寄った。 宴「かしら」 小虎「かしら」 塚崎「…」 間口「チコちゃん」 名倉「ヘッ 親ビンやるじゃん」  薊「棟梁」 藪谷「…」 チコ「みんな…」 自分よりも遥かに年上な男達に慕われ、敬意を称される少女は囲まれた。 マドンナであり頭でもある若き大将に忠誠を誓った剣士共が取り囲み、チコはその面々を見ながら口にした。 チコ「みんなに黙って出ちゃった事はごめんなさい みんな来てくれたんだね」 宴「ホントですわ いくら かしらだからって今後こんな勝手な行動は止めて頂きたい」 チコ「ホント ごめんなさい」 薊「謝るのは我らとて同じ 助太刀で参上したのに不甲斐なくも幾名もの命を絶やしてしまったんだ 誠に面目ない限りであります」 初老なる薊が深々と頭を下げた。 チコは首を横に振るや 感情が戻ったのか悲しみをこらえつつ、片膝でしゃがみ込んだ そして散った仲間へ向け、合掌した。 一同もチコに続き手を合わせた。 みんなの事は忘れない… 元の平和な世界に戻るまで…… 絶対にあきらめないから… ありがとう… どうか安らかに… そんな祈りと冥福を捧げ、黙祷された。 七海「終わったの…?」 海原「あ… あぁ 恐らく」 佐田「…」 終始 異次元の戦いに圧倒され 観戦する事しか出来なかった3人はまだ本当に終わったのか実感出来ないでいた。 化け物と化した江藤が食事する姿 その背中を目にする2人 七海「まさかなんだけど あれ 敵を食べてるって訳?」 佐田「うん まぁ 半分はゾンビだから そうなんじゃないの」 七海「うげぇ 気持ち悪い」 海原「終わったって事だ」 七海「うん そうね」 食欲旺盛かバリバリ貪り、食い散らかしている バキバキと骨をへし折る音を鳴らせ、立ち上がった江藤 江藤は骨の断片に内臓の一部を突き刺し、それを平らげるや満足そうな顔で食卓から離れ出した。 歩きながらムシャムシャする口から骨の断片を吐き捨てる その吐き捨てられた肉片と骨と共に見えたのは注射針のガラス片… お腹いっぱいなのだろう腹をさすりゲップする江藤は大人しく隅へと移動し横になりはじめた。 食べ散らかされた死体から目を背けながら七海が立ち上がり 海原、佐田も皆の元へと歩み寄った。 江藤「ゲポッ ヘヘヘ」 七海「お疲れ様でした 私達凡人には何も出来なかったわ っで これからどうするの?」 海原「あぁ……こっちは片付いたとして… まだ終わってない 精根尽きかけの所申し訳ないが 別隊の状況も気になる 佐田 移動車両の用意を」 佐田「了解」 海原「いけるか?」 チコ「…」 チコが頷く 海原「よし 整い次第 すぐに移動を開始する」 御見内等と合流する為 移動を決めた各員 七海「ちょい あれはどうするのよ?」 いつの間にか横になって眠る江藤を指さした。 江藤「がぁー がぁー」 化け物化のままイビキをかいている 七海「寝てんだけど」 海原「仲間を襲う心配はなさそうだし 仕方ない おぶって運ぼう」 七海「え?あれ運ぶの? せめて元に戻ってから寝て欲しいわね」 薊「塚崎、名倉 江藤氏を運ぶの手伝ってやってくれ」 塚崎「へいへい」 名倉「ほい」 チコが合間の愛刀、自分の愛刀を腰の鞘入れに掛け、ブレザーやコートを拾い、歩むや近づく七海が肩をポンと叩いた。 七海「お疲れ あんたやっぱただもんじゃないのね 凄かった かっこよこったわよ」 チコが七海に視線を合わせ、ニコリと微笑んだ瞬間 チコは瞳を膨張させた。 ピキーンと脳裏をよぎる感覚 誰よりも先に察知された嫌味なオーラ 嫌な予感が走った。 また同時に 海原、塚崎、名倉が近づき江藤に触れようとした時 横たわる江藤の目がギロリと見開かれ、飛び起きた。 海原「わっ」 塚崎「え?」 江藤の目がはちきれんばかりに見開かれ 江藤「ぶえぇぇぇ~」 いきなり嘔吐しはじめた。 名倉「なんだ? わ 汚ねぇ」 ゲロが撒き散らされ、急いでリバースしてる様に思われた。 江藤「うえぇぇ~」 食した物全てを体内から吐き出す勢いの動作に、何事かと3人は尻込みし後退った。 七海「え?なんでゲボしてんの?」 チコはコートやブレザーを再び投げ捨て、刀を握り締めながらボソッと口にした。 チコ「あいつ… まだ死んでない…」 七海「え?」 薊「…」 小虎「…」 その言葉を耳にした誰しも 顔面を蒼白にさせた。 血の一滴、肉片も残さず体内から吐き捨てた江藤が高速バックでその場から離れ四足体型で身構えた。 江藤「ぐうぅぅぅうう」 ヘラヘラした表情から威嚇の声をあげ、睨みつける攻撃的な表情 チコ「そこの3人 早く離れて!」 チコの呼び声に急いで離れる3人 塚崎「なんだ? どうした?」 チコはいつでも刀が抜けるポーズで警戒 額に眉間を寄せた時 食い散らかされたスキャットマンの死体に 江藤が吐き捨てた肉塊の残骸に… 変化が生じはじめた。 くどいぞ 相変わらずそんな苦情の声おかまいなしの 特に先の展開を考えてる訳でも無く、ノリと何となく続けたい作者の自己満足に付き合って頂こう~的な 奴はまだ… 生きている…
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