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キッコ、改め、光紀は、長い髪を耳に掛ける可憐な仕草をしながら立ち上がった。スカートの裾がふわりと広がる。
「こんにちは」
小首をかしげる様は見惚れるくらい可愛らしく、むしろ天使のように思えた。
しかし宮坂の言を借りれば、彼は悪魔だ。
第一、女にしか見えなくても、男だ。
「こんにちは。ええと、……光紀君」
警戒しながら答える彬に、光紀がくすりと笑う。
「あたしの名前聞いたんだ?でも、この恰好の時は君付はやめて欲しいなぁ。イメージってもんがあるでしょう?」
「あっ、そうか。光紀……ちゃん?」
慌てて言いなおすと、光紀は一層くつくつ笑った。
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