ルール その47

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「彬さん、コーヒーで良かったかしら」  首を伸ばすように笑顔が振り向けられる。  彬は慌ててソファから立ち上がった。 「あ、はいっ。コーヒー好きです!ありがとうございます」 「ふふ、そんなかしこまらないでいいのよ。もっと寛いでちょうだい」  戸を閉めた宮坂が慣れた手つきで盆を受け取り、エスコートするように志摩子を座らせる。  自分もなにか手伝った方がいいのかとおたおたする間に、三人でテーブルを囲む形になっていた。  おずおずと座り直しながら、さっそく少しだけしょぼんとなる。ちょとでもいい所を見せたいのに、あたふたするばかりで宮坂のようにスマートにいかない。  室内にコーヒーのいい匂いが漂う。 「ごめんなさいね、散らかってて。持ち込んだ仕事はここでしているから」 「いえ、こちらこそ急におじゃましてしまって」 「私は大歓迎よ。ずっと会ってみたかったって言ったでしょう?」  そうは言われても、カップを持つ手は震えてしまいそうだ。  嫌われるわけにいかない。何一つ、絶対に失敗できない。
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