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朝の気配というのは、眠っていてもわかる。
ふわりと意識が浮上して、ああ、そろそろ起床時間だなと眠りの縁で考える。
実際目を開けるとうっすらと部屋が明るく、カーテンの隙間から洩れる朝日が直感の正しさを肯定していた。
いつも通り、5時30分直前────薄明りの中寝返りを打って、とたん割れるような頭の痛みに呻きを上げて悶絶する。
「……っ、た……」
なんだこれ……?
額を抑えながら自分の息のアルコール臭さに顔をしかめ、昨夜のネオンの色がふと蘇り────かけて硬直した。
眼鏡がなくてもこの距離ならわかる。すぐ隣に、ふわふわと軽く癖のある茶色がかった髪質の頭がある。
誰かが自分の隣で寝ている。
どうやら裸で。
枕を共有して。
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