ルール その4

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 会社からの帰り、電車の中でメールの着信があった。  相手は宮坂で、今日も遅くなると言う。 『デートの待ち合わせはどうするんだ』  少し迷って、そう返信した。  間を置いて、返事が返ってくる。 『駅の傍のカフェ。11時でどうですか』  一緒に店情報のURLも送られてきた。  地図を開いてなるほど、ここかと確認していると、またメールが届いた。 『ノリ気ですね。彬さん』 「ち、ちがうっ」  思わずスマホに向かって怒鳴りつけた。怒鳴ってからはっとして、周囲の乗客に目をやる。  迷惑そうに顔を顰めた向かいの席の中年男に頭をさげて、慌てて携帯をしまって腕を組み寝たふりをした。  デートなんてノリ気なんかじゃないのに。というか、彬さんだなんて誰が名前呼びを許したっ。   ──ふと、そういえばと思いついて目を開ける。 「……サンドイッチとおにぎり、どっちがいいか聞きそびれた」  車内広告を睨んで首をひねり、しばしの間思案した。
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