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27歳になったら伝説のロックバンドを作って死んでやろう。 そう、ブライアン・ジョーンズやジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョップリンやジム・モリソン……カート・コバーンのように……。 俺は中学2年の時に、音楽に出会って人生を変えられた。初めて聴いたのはビートルズだったけれど、一発で覚えれる、そのメロディーとサウンドに一瞬にして虜になった。親に頼み込んで、初心者3点セットという、ミニアンプと、それに繋ぐシールドと、ストラトという定番的なギターを買ってもらった。本当はもっとカッコいいのが良かったけれど、それが1番、手頃な価格だった。 高校に入って、真っ先に軽音楽部に所属したのは、未来のメンバー探しのためだった。そして、軽音楽部に所属していて、バンドを組めば秋の文化祭で体育館で演奏出来るということを、入学式の時に先輩が演奏しているのを見た後、風の噂で聞いた。 ボーカル、ギター、ベース、ドラム……たまにキーボードなんかもいるけど、それらの楽器達を持って巧みに操り独自のサウンドを奏でる先輩達は、自分が追いかけていた唯一無二のヒーローのようであり、プロミュージシャンに1番近い存在に思えた。 武道館もいいけど、まずはここでライブやらなきゃ……。 憧れは夢に変わり、夢は目標に変わっていった。まだ遠い未来の自分が約束されたように、自分の中でキラキラと輝いていた。 バンドをやるとなると、無論、メンバーが必要になる。ハンドマイクで歌うタイプもいいけれど、ジョン・レノンとかカートみたいなギターボーカルスタイルがいい。まだ始まってもいないバンドのポジションやバンド名、方向性を勝手に決めだすと、どんどん楽しくなっていった。あとはメンバーを見つけるだけ……。軽音楽部の中で次第に違うパートの友人を何人か見つけていた俺は、そいつらならやってくれるかもしれない。と、目星をつけた。 翌日、教室の中で連中を発見すると、開口一番、バンドやろうぜ!! と、光より速く、和田アキ子よりでかい声で話しかけた。しかし、その空振り具合も、また、光よりも早かった。
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