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目覚めると美也子が隣りで寝ている。
じっと寝顔を見た。
夕べも三宮のホテルに二人で泊まった。
暫く眺めていると美也子が目を覚ました。
「おはよう、何か飲む?」
美也子は驚いたようにルイを見た。
「大丈夫、手なんか出してない。
ん~んでもキスはしたかな、君が僕に」
ルイは笑いながら美也子を見つめた。
昨夜は二人で三宮で飲んだ。
酒が飲めない彼女を気にしながら飲むルイを気使って、一杯だけ飲む心算が酔ったのだろう。
ルイが止めるのも聞かずに三杯ほどワインを飲みそのまま潰れた。
このホテルに連れ帰りベットに寝かせていると、いきなり彼女がルイにキスをした。
胸がドキッと音を発てそのまま彼女を抱き締める。
だが今はまだ彼女もターゲットの一人だ。
それに酔った勢いで二人の関係が深まるのは本意じゃない。
だが彼女の腕がルイを離してくれない。
抱きしめたまま一緒に眠った。
「何、信じてないの?
我慢するの大変だったんだよ。
シャワーを浴びて確かめてごらん」
そう言って美也子の鼻先を指でつついた。
「ごめんなさい私、
お酒飲むと記憶が・・」
「それならもう他の男と飲むんじゃない。
僕の時だけにしろよ。
でも、僕も何度も我慢はできない。
何せいきなりキスはするわ、離してはくれないわ。
僕の自制心なんて紙より薄いのに・・」
美也子は顔を赤くして言葉に詰まっている。
「でも可愛いかったから許すよ。
本当にシャワーしておいで、そこに昨日買った下着もあるだろう?
それも覚えてないの?
コンビニで買っただろ?
今君が着てるTシャツと一緒に・・」
「あっ、思い出した。
そこのコンビニで」
ルイは笑いながら美也子を見る。
でも同時に不安に駆られた。
もし酒を飲んで記憶がないまま美也子が幸乃をどうにかしていたら・・
記憶がなくても幸乃が美也子を許さないなら・・
「なあ、前に酒を飲んだのっていつだ?」
美也子は記憶を辿る・・
「去年の暮れの忘年会。
でも一口だけよ。
記憶が無くなるほどは飲んでないわ」
ルイはそう聞いて安心した。
それなら幸乃の依頼よりもずっと前だ。
美也子のはずがない・・
ケイが『嫌な気がする』と言った事が胸に痞える。
(とにかく故意に他の人を傷付けるような娘じゃない)
そう思いながらシャワー室へ行く美也子を見ていた。
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