不安

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キラはケイからの電話で紙袋を持った。 バックミラーで弘幸が下を向いたのを確かめ後部座席から車を降りると走って南京街を抜ける。 元町のアーケードを左に曲がるとエンジンを掛けたままの車が見えた。 運転席にはケイの姿が見える。 中から助手席のドアが開いた。 キラが乗り込むと車は直ぐに発進し次の角を右に曲がった。 バックミラーに自分を探す弘幸の姿がないのを確認してケイを見た。 「キラ、君何を持ってきた?」 ケイの顔が険しい。 「やはりそうか? 中はまだ見てない。 ビニールに水滴が付いていたからマリアに心当りを聞いたが二人供無いと答えた」 「後ろに置いてくれ、家に帰って地下室で開ける」 大通りを一度左に曲がって山手に向う。 キラが見つけた物がそうなら一刻も早く帰らなければ。 異人館の通りを抜けた辺りでもう一度後続の車を確かめて駐車場に車を停めた。 「キラ、悪いが店を開けてくれ、閉めていると周りが変に思う。 直ぐに戻る」 ケイはキラから受け取った紙袋を持って自宅へ急ぐ。 キラはケイから渡された鍵で店を開けた。 「ケイ君キラは? 会えなかったの?」 一人で戻ったケイにマリアが声をかけた。 「いや会えたよ。 僕が少し地下室に用が出来たから開店準備を頼んだ。 直ぐに替わるから君は此処から出るな」 ケイにしては口調がきつい。 よほどの事が有るのか・・ そうマリアが思っていると直ぐに地下室に降りて行った。 地下室のドアの鍵を開けて中に入る。 ベットに眠る幸乃を見つめた。 キラが持って来たビニール袋を開けた。 「やっぱり・・ だが此れで探す手間が省けた」 冷蔵庫から『ワイン』を出して口に含む。 ビニール袋の中にいっきに吹き掛けた。 袋を閉じると幸乃の眠るベットの下に置いた。
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