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ルイはケイの腕を掴んだ。
「それでも、僕は・・」
「ルイ、僕を冷たいと思ってるだろ?
でも僕達の仕事は(法律)を守る事じゃない・・
幸乃の心を守る事だ・・
彼女が本当に望んだ事を叶えてやるのが僕達の仕事なんだ。
その為に三人には時間をやった・・
例えば君と美也子だ。
彼女が君を愛して自分が犯した罪を悔いたなら、幸乃もその人を許すかもしれない・・
だがそれでも自分だけを守ろうとするなら幸乃はきっと」
「それでも僕は美也子を信じてやりたい・・
そして守ってやりたい」
ケイはルイの肩に手を置いた。
「だからいつも言っておいたのに・・
僕もキラもそんな君を見るのは辛いんだ。
でももうどうしようもない。
せめて美也子が素直になれるようにしてやれ・・
今君にできるのはそれだけだ」
そう言うと黙って食器を洗う。
ルイはケイの言葉を噛み締めるようにしながら黙ってコーヒーを飲み干した。
「キラも君を心配してる、顔を見せてやれよ」
ケイはそう言ってから何事もなかったように店の仕事に戻った。
ルイは店を出てケイの家に向かう。
ケイの言う事は良く解っている。
それでもまだ心が其を認めない。
いつもは気に入らないキラだが、もしかしたらケイとは違う事を言ってくれるかもしれない・・
家の前からメールを送る。
ドアが開いて見知らぬ男が顔を出した。
「君、誰?」
ルイがそう聞く。
「君こそ誰?」
怪訝そうにルイを見る。
後ろからキラが顔を覗かせた。
「ああ広瀬君彼は大丈夫だ。
僕達の仲間だ」
そう言うとルイを招いた。
部屋に入ると手に持っていたペットボトルを渡してくれる。
窓際に腰を降ろしてルイを見た。
「どうした?
元気がないな。
まあ仕方ないか・・
ルイ、僕もケイと同じ事しか言ってやれない・・
お前の気持ちは解る。
だが今のところケイが正しい」
「解ってる」
キラはルイの顔を覗いた。
「ひとつだけ違う事が言えるとしたら・・
どんな時も彼女の傍にいてやれ。
例え彼女がそうでも待ってると言ってやれ、お前なら本当に待つんだろうし、それで彼女も決心がつく」
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