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ルイはキラの横顔を見つめた。
「そうだな・・
そうするよ。
其しか彼女にしてやれないなら僕はそうする」
そう言うと力なく笑った。
キラがルイの肩に手を置いた。
「大丈夫だ、まだ彼女だとは決まってない。
信じてるんだろ?」
キラはそう言ってルイの顔をもう一度覗いた。
「ああ、信じてる。」
ルイは少しだけキラを見つめる。
キラが渡してくれた水を飲んで笑った。
ルイが帰るとケイに電話を入れた。
「今帰ったよ」
「そうか悪いな、僕はこう言う事は経験がないからあいつを傷付けたかもしれない・・」
「おい、僕だって経験豊富って訳じゃ無いんだぞ。
恋愛ならあいつの方がよほど経験がある」
キラは笑いながらルイを思った。
「そうだな、だからかな?
あいつが気に入ってるのは・・
僕には出来ない事をしてるあいつがきっと少しだけ羨ましいのかも知れない」
「ああそうだな、あいつは無条件に相手を愛する・・
僕にもケイにもそれは難しい事だ。
そう言う意味ではあいつの方がよほど僕達より上だ」
キラは笑いながら電話を切った。
ケイもルイを思った。
優しい彼が傷つく事がなければいいが・・
そう思いながらまた仕事に戻った。
夕方、ケイは店を閉めると近くのマンションに向かった。
広瀬の為に近くの家具屋からベッドと簡単なテーブルや椅子を買って運んだ。
テレビと小さな冷蔵庫を入れてから、寝具を整えて鍵を掛けた。
一応、簡単に結界も張る。
実は余り運気の良い土地では無いのだが、家から近い所には外に空き部屋がなかった。
家に戻るとマリアが食事を作っている。
手伝おうか?と聞くと、キラが手伝ってくれるからと嬉しそうに笑う。
(なんだ、キラも上手くやってるじゃないか)
と笑いながら、地下の幸乃の許に向かった。
幸乃はまだ眠っていた。
傍に座って顔を見る。
生きていた頃はきっと明るい女性だったんだろうな・・
そう思いながら手を近づけた。
でも、触れる事は出来ない・・
「幸乃、明日だ・・
其までゆっくりお休み・・」
そう言ってもうひとつの椅子に体を預けた。
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