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翌日、不安と恐ろしさに一睡もせずに銀行に向かうと、昨日車に同乗したもう一人の女性が電話をかけて来た。
私があの女性を突き落とすのを見たと言ってお金を要求してきた。
でも本当にもうお金等ない。
明日まで待ってくれと頼み、銀行は体調を理由に早引きをした。
記憶を頼りにあの場所を探す。
行崖下を探したが彼女を見つける事は出来なかった。
十三の叔母に頼んで50万円を借りた。
保険を解約し残りはアクセサリーやバッグを売った。
やっとの事で100万円を作りこれきりの条件で彼女に渡した。
「あのあの人は、落ちたあの人は大丈夫ですか?」
そう聞くともし死んだら、貴女人殺しよねと笑う。
私が震えていると大丈夫怪我はしてたみたいだけと直ぐに治るわと言った。
その言葉に少しだけ気持ちが落ち着いたが、それでも小さな不安が残った。
自分の膝で眠る彼を見つめた。
傷付き、かたくなになった心に、ふわっと暖かい風を送り込んでくれた人だった。
私の意地悪な言葉ににもきつい態度にも、笑って傍に来てくれた。
もしあの時彼に出会ってなければこんなに早く立ち直れなかった。
でももし彼女の身に何かあったら、私はこの人の傍にはいられない・・
そう思うと涙が頬を伝う。
その涙がルイの顔に落ちた。
慌ててそれを指で拭き取る。
その手をルイが捕まえた。
「どうした?
泣いたりして・・」
起き上がり美也子を抱きしめた。
美也子は迷った末にルイに全てを話した。
「どうしよう?
もし彼女が死んでいたら。私・・人殺し」
ルイは美也子の肩を捕まえた。
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