17人が本棚に入れています
本棚に追加
朝になった。
眠っているルイの髪にそっと触れる。
(彼が目覚めたら警察に行こう)
そう思いながらルイを見つめた。
始めからそうしていたら叔母に迷惑をかける事もなかった。
でもそうしていたら、この人にも会えなかったかもしれない。
だけどもし彼女が死んでいたら、もう二度とこの人に逢えないんだ・・
そう思いながらルイが買ってくれたバッグの中から携帯を出した。
何か有った時の為にルイからの履歴を全て消した。
ひとつひとつ消しながら彼の優しさに涙が流れる。
あんな男に出会う前に貴方に逢えてたら・・
そうしたら、初めての私を貴方にあげられたのに・・
「ごめんなさい」
美也子はそう呟いてまたルイの髪を撫でた。
目覚めると美也子が声をたてずに泣きながら自分の髪を撫でていた。
目を開けようとした時だった。
「ごめんなさい」と謝る小さな声が聞こえる。
思わず美也子の手を捕まえた。
「何にごめんなさいなんだ?」
美也子は驚いてルイを見た。
「初めてをあげたかったのに・・私・・」
「僕は君の初めてじゃ無くていいよ、最後になれたらそれでいいんだ・・
そして君さえ良ければそうなるつもりだ」
そう言って美也子を見つめた。
キラはケイのベッドで目覚めた。
腕の中で寝息をたてるマリアを見ていた。
愛してる訳じないのにどうしてこの娘が気になるんだ?
見つめているとマリアが目覚める。
甘えた顔でキラを見る。
「何?何か付いてる?」
そう聞いて目を丸くする。
「いや・・
どうして君を手放したか考えてたんだ。
サヨナラも言ってないのに君は僕から離れた・・
なのにケイには連絡をしてた。
僕には電話ひとつくれなかったのに」
「私が傷付きたくなかったの・・
貴方からサヨナラって言われるのが怖くて、結局貴方に会えなくなった」
キラはマリアを見つめた。
「あの頃は君に捨てられたと思ったよ・・
他の女性達ちも皆僕に厭きて離れていくからね」
「違うわ・・
厭きただなんて・・」
「ああ知ってる。
だから不思議だったんだ・・メジャーデビューが決まった後だったし、本当に僕を捨てるんだと思った」
最初のコメントを投稿しよう!